俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
そんな加奈子を見て


俺はカバンからA南大学のパンフレットを取り出した。


そして静かにそれを加奈子に手渡す。


「なにこれ…どうしたの?」


パンフレットと俺を交互に見る加奈子。


俺は頭をかいた。


「俺、やっぱりA南目指そうと思って」


「え?なんで…」


本気で?とでも言いたげな加奈子に俺は無理やり続けた。


「俺…真面目に考えたよ。でもやっぱ加奈子と同じ大学に本気で行きたいんだ」


「…………」


いつになく真剣な俺の言葉に、加奈子は少し驚いた表情をしている。


「この前は…適当な感じでしか言えなくてごめん。俺、夢とかないし自分に自信なかったんだ」


「…………」


「将来やりたいこともわかんねぇし…真面目に考える程、自分に出来ることもなんも無い気がして。真剣になることから逃げてた」


「…………」


「だから加奈子が俺に呆れても当然っつうか…」


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