ONLOOKER Ⅱ
「じゃ、恋宵ちゃんは俺とで?」
「ええ~」
「えー、俺とじゃいやなのー」
「だって目立つじゃにゃい」
「いや頑張って気配消すし!」
「駄目だ! それじゃあ真琴が直姫と組むことになるだろう?」
「そーよ、まこちゃんデート報道デビューしちゃうにょろよう」
がやがや言い合っているのを、なにも口を挟まずに見ていた二人に、彼らの視線が向いた。
直姫と真琴を、ぱ、と見比べる。
そして、准乃介が呟いた。
「……大丈夫でしょー」
細身のブルージーンズにオーバーサイズのトレーナー、足元はハイカットのスニーカー。
直姫はそんな服に身を包んでいた。
ボーイッシュどころか、どこからどう見ても、華奢な少年である。
長い睫毛や低くはない声ですら、成長期真っ只中の男子学生らしさに拍車をかけていた。
直姫は、少しだけ眉を寄せる。
「え、と。ここは怒るところですか」
「直ちゃん、それ聞いちゃった時点でもうダメだにゃあ」
「あ、そうですね」
「恋宵と一緒でもカップルってより姉弟だよねぇ」
「……先輩たちが、目立たない格好してこいって言うから」
できるだけ目立たない、かつ本当は女であることがバレないように。
普段からそんな服の選び方をしているのか、いいところのお嬢様にあるまじき格好であるはずなのに、妙にこなれた様子だ。
確かにとびきり地味にしてこいと指定はしたが、もう少しなにかあったのでは。
そう言いたげな目に五方向から見られて、直姫はさらに少し、眉をしかめた。