悪魔なキミと愛契約【番外編】
「吉井」
廊下で、背後から不意に掛けられた声。
その声に、私の体は硬直した。
書類を抱え、課長の顔を見ずに佇む。
「話がある」
目を固く閉じた。
乱れる鼓動。
震えだす体。
話……?
二度も、私を振る気じゃないよね。
そんなことされたら、涙、我慢できなくなる。
「仕事の話ですか?」
振り返らずに言った。
「直接言わなくてもいいことなら、あとで内線でお願いします。
私、忙しいので。 それじゃ」
素っ気なく言って、足早に去る。
一度も課長の顔を見ずに。
見てしまったら、私はもう、課長の傍から離れられなくなる。
これ以上課長の虜にならないようにするには、直接会う事を避けなきゃ。