悪魔なキミと愛契約【番外編】
「違う。
吉井、聞け」
課長が、強引に私の腕を掴もうとする。
その手から必死に逃げ、涙を堪えながら課長を見上げた。
「課長。
私の事が嫌いなら、もう、構わないで下さい。
いつもみたいに冷たくされたほうが、よっぽど楽です……」
「………」
課長が、悲しげに眉を寄せる。
課長……
どうしてそんな顔をするの?
どうして、そんなに私を惨めにさせるの?
「課長……」
「………」
「迷惑かけて、どうもすみませんでした。
これからは、課長と部下として、仕事の話以外はしませんので」
口では言っておきながら、涙は止まらない。
強がる振りすら、出来ない。
それだけ、大好きだから――…
「――…ッ」
私は嗚咽を堪え、屋上から走り出た。
当たり前だけど、課長があとを追ってくる気配はない。
階段を駆け降りて、段々と足が動かなくなって、途中で足を止めた。
ワンワン泣いた。
本気の恋だったのに。
本気で諦めなくちゃいけない。
こんなに
大好きなのに――…
失恋が、こんなに辛いものだと、思わなかった。
課長を独り占めしたいと思った欲が、私の心臓にしがみついて離れてくれない。
泣いて泣いて泣いて。
どんなに涙を流しても。
課長への、膨らみすぎた想いまでは、流れなかった。