俺様婚約者~お見合いからの始まり~
まだ、先ほどの激しいキスの余韻が全身を駆け巡ってボウッとしてる…。

「お、これうまい」

美味しそうにパクパク食事をする悠斗をぼんやりと見ながら、やっぱり不思議に思う。

…何故、彼は平気なの?

やっぱり私、彼にからかわれているのかしら…。

お見合いで初めて会った日からまだ幾日も経っていない事を思えば、それは普通なのだろう。

じゃあ、私は?

何故こんなにドキドキしているんだろう。

食事を口に運ぶ悠斗の手先を見ながら、…触れたい、…と思う。

彼が動く度にさらさら揺れる髪にも、カッターシャツのボタンを少し外した首筋にも、金色の時計が似合う細い手首にも…。

「…何?…待ちきれないの?」

…はっ!!

うっとりと自分のあちこちを眺める私の視線に気付いた悠斗が食事の手を止めて私の方を向いていた。

「…や、…ちが…」

…言葉がうまく出てこない。



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