俺様婚約者~お見合いからの始まり~
すると、はあ、とため息が聞こえた。

その後に彼が静かに問いかけてきた。

「…百合子?、泣いてるのか?」

「………」

私が黙っていると彼の気配を側に感じた。

私がそっと彼の方を向くと悠斗はしゃがみ込んで私の顔を覗き込んでいた。

…きゃ…、近いっ。

驚いていると彼は無表情のままさらに問う。

「…婚約…、やめてほしいか?」

…え…?

彼の私を覗き込む瞳が微かに揺れて、瞬きをして睫毛も揺れる。

私は大きく首をブンブン振った。


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