俺様婚約者~お見合いからの始まり~
―――。

「…子、…百合子…?」

遠くから悠斗の声が聞こえる。

………。

…はっ……。

パチリと目を開けた私の目前に心配そうに見つめる彼の黒く大きな瞳が揺れていた。

「きゃ…」

驚いて目を見開く。

あ…、私…。

「まさか…、気を失うなんてな…」

彼がクスクス笑い出す。

「や…、何言うのよ、私は…」

慌てて取り繕おうとする私の唇に彼の唇がチュッと軽く重なった。

わ……。

えっと…、さっき…。

悠斗に…こうされて…、それで…。

少し前に起きてしまった事態に顔がボワッと熱くなる。

やだ…、…。

今や私は彼の小さな動きにも反応する身体になっている。

やだ…、もう、何…これ……?




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