俺様婚約者~お見合いからの始まり~
ゴンゴン!!

突然、車の窓をノックする力強い音が聞こえて私は現実に引き戻された。

パッと彼から身体を離し、音のした窓の方を振り返る。

「誠司…!」

窓の外からこちらを覗いている見慣れた顔に呟く。

「…誰?」

はっ…!

慌てて悠斗の方を向き直ると彼は明らかに怪訝そうな表情で窓の外に視線を向けていた。

「あ、あの…、お隣の同級生、なの。

…幼なじみ…ってやつかな」

「…幼なじみ…?」

鋭い眼光のまま、私に視線を移して彼が呟く。

…うっ…。機嫌、悪くなっちゃった…?

悠斗は形の良い眉を軽く吊り上げ、静かな気迫を漂わせている。




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