俺様婚約者~お見合いからの始まり~
誠司にはまだ婚約した事を話していなかった。

毎日一緒に学校へ行っていたけど何となく言いそびれていた。

どう、切り出したら良いものか、正直悩んでいたのだ。

実は私は彼から一月ほど前に告白されていたのだ。

『百合子の事、もう俺の中では、ただの幼なじみじゃないんだ…。

お前が、…好きなんだ…。』

あの時の誠司の言葉や表情が、昨日の事の様に思い出される。

だが、彼からの気持ちを聞いても、幼い頃から付き合いの深い家族同然の誠司を異性として見る事は出来そうになかった。

『…ごめんね、誠司…、私…』

『いいよ、わかってる。
ただ、俺…、待つから。
百合子が俺を男として見てくれるまで。』

『…そんな…、困るわ…。やめてよ、…』

その後、彼は表情をふわりと緩めて哀しそうに笑った。


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