俺様婚約者~お見合いからの始まり~
「婚約って…、百合子、どういう事なんだ…?」

戸惑いながら聞いてくる誠司の問いに私は何も言えないでいた。

「…じゃあ、百合子、俺は行くから。

誠司…さん、後、よろしく」

悠斗はにこやかにそう言って車に乗り込んだ。

あ…、悠斗…。

私が声をかける隙も与えずに彼は車で走り去った。

…目も合わせなかった。

…悠斗…、きっと何か感づいたわね。勘のいい彼の事だもの。

だけど、それなら私が心配じゃなかったの?

何も言わずに行ってしまうなんて。

やっぱり、私の事なんて…。

「…百合子?」

誠司の声にそちらを向く。


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