俺様婚約者~お見合いからの始まり~
母が今日の日のために仕立ててくれた豪華な晴れ着が、私をさらに惨めな気持ちにさせていた。

「あの…、浅香さんは、大学の時、悠斗と親しくしてたんですか」

「え?うん。一年だけだけど、仲良くしてもらってたよ」

「あ、あの…、どんな、感じだったんですか」

「?」

「あの…、どんな人と…」

浅香さんは首を傾げて私の話の続きを待っている。

「え…いや…、あの、いいです」

私が話を止めようとすると、浅香さんは大きな目をフッと細めてふわりと笑った。

…わ…、素敵…。…ヤバい…。

「悠斗さんの女性関係が気になるの?」

彼に見惚れる暇もないほどのスピードで読まれてしまった。


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