ある日突然...
朝食が終わって、部屋に戻りネクタイを締める。
上着を着てリビングに行くと兄貴が新聞を読んでいた。
隣に座り、ため息をつく。
「どうした、おじけづいたか?」
「そんなんじゃないけど・・・」
「なら、どうした。」
「自分じゃあ、普通に絢乃と恋愛してるつもりだったのに、じいさんたちの政略的な思惑に乗せられていたって思うと、なんかねぇ・・・」
「いいんじゃねぇ?それで。じいさんたちが決めた相手が恋愛できる相手だったってこと自体がラッキーだと思うけど。俺なんか相手すらまだ分からないんだぞ!ドン引きしそうな相手だったらどうしようかな・・・。そうだったら俺、愛人囲っていいかな・・・」
「好きにすればいいけど、俺はしないよ。」
「だから、おまえはラッキーだったって言ってるだろ!」
足音が聞こえ、父さんがリビングをのぞいた。
「そろそろ行くぞ。」
「「はい!」」
兄貴と俺は立ち上がり、リビングを出て父さんの後をついて玄関に向かう。
母さんがパタパタと奥からやってきた。
「いってらっしゃい!」
「「「いってきます。」」」
「涼さんも黎ちゃんも、たまには帰ってきてね!」
「はい、はい、いってきます。」
俺たちは、用意されていた車に乗り込み、永森本社に向かった。