それはたった一瞬の、
柊が小さく感嘆の声をあげ、見えない双眸をこちらに向ける。
「どうしてそう思う?」
解けてバラバラになってしまった糸を手繰り寄せてひとつにするように、私はゆっくりと言葉を繋げる。
「少しずつ、みんなが自分の悩みを打ち明けてくれるの。沙霧や釧奈が話してくれた。
でも私はその悩みを聞いたって、どうしてあげることもできない」
それぞれが勇気を振り絞って私の所に来てくれる。
でも私はそこからどうすることもできない。
思ってしまった。
私はみんなの勇気を無駄にしているんじゃないかって。
「最初に言われたんだ」
――貴女様は私たちにとってとても大切な御方ですので。