それはたった一瞬の、


沙霧も、釧奈も、柊も、よもぎちゃんもいない。

この場所にその人たち以外話せる人はいない。


父さんだって、当たり前だけど母さんだっていない。


誰も、誰も、誰もいない場所でひとりぼっち。


視界が熱く揺らいで、足が頼りなく震えて、呼吸が急に荒くなる。

情けない、こんなことで泣きそうになるなんて。

泣いてもいいのかな、こんな所で泣いても許されるかな。


許されるんだったら、私は。


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