それはたった一瞬の、
振り向くと、よもぎちゃんが怖い笑顔を浮かべていた。
完璧なまでの美しさで怒るものだから、怖いことこの上ない。
「それは言ってはいけない約束でしょう?…いけませんよ、約束を破っては」
「は、はい…」
沙霧につられて、私まで委縮してしまう。
けれど数秒すれば彼はけろりと態度を変えて、唇を尖らせながら不満を呟いた。
「ちぇー、何だよ。よもぎはいっつもケチだからなぁ」
「さ・ぎ・り?」
「…いえ、何でもないです」