We need Con Dome!!
勝負の方法はこうだ。

バロスがピッチャー、セリヌがバッターだ。

バロスが投げる球をセリヌが打ち返せばセリヌの勝ち。

打ち返せなければバロスの勝ちになる。

チャンスは一度だ。



セリヌはバッターボックスに立った。

バロスはマウンドに立った。

二人はにらみ合う。

緊張の一瞬。

そのとき、セリヌが口を開いた。

「バロス! 私はキミと離れている間、ずいぶんと特訓した」

セリヌは一度素振りして見せた。

「私は秒速11.2kmの球も打ち返すことができる!!」

それは、バロスの謳われている最高球速と同じだった。

セリヌは絶対の自信を持っていた。

必ず打ち返せると。

……しかし、バロスは笑った。

投球フォームに入る。

「それは私の最高球速ではない!! 私も特訓し……」

――彼は球を放す瞬間、言った。

「秒速16.7kmが出せる!!」

バロスの投げた球はセリヌが反応するよりも速く、ホームベース上を通り抜けた。

セリヌは空振り。

そのまま、その場に倒れてしまった。

「……バカな……! 私が、この私が負けただと……!?」

セリヌはそれを最後に、倒れたまま動かなくなってしまった。

彼は自分の野球に絶対の自信を持っていたのに、バロスに負けてしまった。

その事実から逃避しようとしたセリヌは、こうする他なかったのだ。
< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop