シャボンの国 -the land of soap bubbles-
「…リル、」



まるで王妃を遮るようにして。



気付けば声を出していた。




「…っ、ただの風邪に決まってんだろ!ほら、リルが風邪ひく事なんて今までなかったろ?だから皆心配してんだよ。ねぇ?父上、母上も」




目が合った二人は明らかにその瞳孔を揺らしていた。



だけど。




「…そうだぞ、リル。皆お前が心配なんだ。早く治しなさい」





そう言葉を落としてくれた父に心底ホっとしたんだ。
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