シャボンの国 -the land of soap bubbles-
睨みつけていた視線を外してそっぽを向けば、ふと頬にカイルの手が添えられたのがわかった。




「顔、真っ赤」




そんな事は言われなくたってわかっているのだ。



だからと言って、紅くなってしまった頬を直ぐに戻す技術など花音に持ち合わせているわけもない。



あるといえば。




「…うるさい、」




小さく反抗する口だけ。





ふいに、頬に添えられた手が動いたのがわかった。



親指で何度も優しく頬を撫で付けられる感触は悔しくも心地良い。



そしてその感触がまた花音の紅潮を持続させてしまう。




「何か…」



「え?」



「可愛いね、お前」



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