恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
夕陽が溶けて滲んだ色の海は本当に綺麗で眩しくて。


見ないなんて人生の半分は損をしてるんじゃないかってくらい、綺麗なのに。


海も空も、情けないあたしにはあまりにも眩しすぎて、直視することができなかった。


悠真の話を聞かなければ良かったと思った。


でも、聞いて良かったと本気で思った。


悠真の過去を知らなければ、あたしは気付けなかっただろうから。


自分が世界でいちばん可哀想だと勘違いしていたことに。


彼氏にはこっぴどく捨てられて。


親友には裏切られて。


そんな状況に投げ出されたあたしは、誰よりも可哀想で孤独な悲劇のヒロインなんだって。


思い上がりもいいところ。


あたしは何を堂々と勘違いして、思い上がっていたのだろう。


あたしより遥かに苦しくて悲しくて、切ない想いをしている人がいるのに。


後悔から抜け出せずにもがいている人がいるのに。


「悠真は強いね。里菜も。あたし、自分が恥ずかしいよ」


悠真も、里菜も。


「東京でちょっと傷付いたからって、あたし、逃げて来たようなもんなの。この与那星島に」


大きな悲しみを抱えているのに。


それに比べたら、あたしの失恋なんてミジンコよりもちっぽけなのに。


「なんかあたし、ほんとにバカみたいだね」


「……陽妃さぁ」


それでも、乗り越えようとしているのに。


後悔にもがきながらも真っ直ぐ生きようとしている人がいるのに。


「東京でどんなことがあったんかやぁ、わんにやぁ分からねーらんし聞かねぇいしが。やしが、ここは東京じゃねーらんからさ」


そんな泣きじーなちら(泣きそうな顔)しなくていいよ。


そう言って、悠真はあたしの頭をぽんぽん弾くように撫でて笑った。

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