恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~
悠真


『水平線が歪んで、波の上を走っちゃ強いかじ(風)がさ、ピアスん横、吹き抜けていった』


悠真


『こんなことやぁ誰も信じてくれねーらんやしがね。わんにや聞こえた気がしちゃんやっさー』


シワサンケー

ナンクルナイサー


『そうしちゃんら、かじが止んでさぁまた静かになってさ』


悠真


――亮介かね……今の……亮介なんかね


『やっと、気付いたんやっさ……』


――やー、ニライカナイに行ってしまったんやっさーね


『亮介やぁ……もうこの島にはおらんこと』


――わっさん(ごめん)


『そうしちゃんらさ、もう……ナダー(涙)が止まらなくなりよった』


――わっさんな、亮介っ……わっさん……亮……


『あの日の朝、浜に打ち上げられた亮介を見てもさ、火葬ん時もさ、葬式ん時もさ。ナダーなんてひとつも出なかったんにさぁ』


――亮介……わっさんな


『泣いても泣いても、泣いても。ナダーが止まらねーらんたん』


その日から悠真は決めたらしい。


もう、誰の事も好きにならない、と。


もう、彼女はつくらないのだ、と。


誰かを好きになってはいけないのだと。


また感情的になってしまうのが怖くてたまらない、と悠真は言っていた。


『もうさ、失いたこーねーんやっさー。大切な人をさ』


誤解が解けないまま、大切な人と会えなくなることほど後悔することはない、と。


親友を信じきれなかった自分に、感情的になってしまったあの日の自分に、後悔ばかりしている、と。


『後悔さん日やねーらん。やしが、生きて行かねぇばならねーらん。亮介のぶんも』


フェリーに揺られながら何度も赤いピアスに触れて、悠真は自分の過去を話してくれた。
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