泣き顔にサヨナラのキス
 
これには孝太も少しムッとしたように、口を尖らせる。


「何で急に怒るんだよ?」


「怒ってない、けど」


「けどって、何?」


「居酒屋に一緒に行こうって言ったのは孝太でしょ?あたし、事務所でずっと、待ってたのよ。
連絡しようにも携帯は繋がらないし。直行するなら一言、言ってよ」


昨夜のイライラが甦って、一気に捲くし立てると、孝太の目も見ずに横を通りすぎた。



< 237 / 614 >

この作品をシェア

pagetop