泣き顔にサヨナラのキス
   

「カナ、」


「ごめん、着替えたいから向こうにいって」


狭い独り暮らしの部屋に逃げ場所なんて無いに等しい。


スーツを脱いで部屋着に着替えると、次に何をすればいいのか分からなかった。


「ね、カナ。俺、出先から事務所に電話したよ。伝言聞いてない?」


「聞いてないけど。誰に頼んだの?」


「え、山本さん……」


――…やっぱり



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