泣き顔にサヨナラのキス
身構えてずっと出入り口を気にしていた。
そのせいで、新聞なんて読める訳も無く、どの記事も頭には残らなかった。
「おはようございます」
待ち望んだ孝太の声に顔を上げる。
孝太はいつもと同じフワフワのダークブラウンの髪に柔らかい雰囲気のままで。
怒らせたなんて嘘みたいに想えてしまう。
なんでもないように、一言「おはよう」と言ってしまえば、全てが元通りで
「センパイ、お仕置きですからね」なんて小声で言ってくれそうな。
……そんな筈は無いのに。