泣き顔にサヨナラのキス
孝太は丁寧にピーマンを除けているけど、それってメインのおかずが半分近く食べられないって事で。
いつもだったら、あたしのお皿にそのピーマンが乗っかって、別のおかずと物々交換になるんだろうけど、今日はそんな素振りも無い。
こんな些細な事でも、寂しくなってしまう。
「野上さ、食べるか、ため息吐くかどちらかにしろよ。あ、やっぱ、ため息禁止な、飯が不味くなる」
「す、すみません」
ため息なんて、無意識だった。
ご飯、不味くしちゃってごめんなさい。
聞こえるはずも無いけど、心の中で呟いた。