泣き顔にサヨナラのキス

      

……えっ?



身体から血の気が引いていくようだった。



梶間食堂の騒々しさも音が消え去ったかのように静まり返る。


孝太はお箸を乱暴にお皿に置いて、原口係長を睨み付けた。


「やっぱり、原口係長だったんですね」


初めて聞く、怒気がこもった低い声だった。



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