泣き顔にサヨナラのキス
「じゃ、何処にする?」
前を歩く原口係長が徐に振り向いた。
「えっと?」
何のことかわからずに、原口係長の次の言葉を待った。
「もしかして、訊いてなかったのか?
さっき軽く飲んで帰ろうかと言ったら、お前頷いただろ?」
原口係長の目が細くなる。
ひょえっ、睨まれた。
「き訊いてましたよ。モチロン。当たり前田のクラッカーです」
原口係長は無言だった。
あれ?おやじギャグ不発。
伊藤課長は爆笑してくれたのにな。