泣き顔にサヨナラのキス
     

何の疑問も持っていなかった。

結婚なんて誰としても同じだろうと想っていたから。


友達の紹介で知り合った亜美と付き合いだして二年が過ぎた頃、亜美がそろそろ結婚したいと言った。


「じゃあ、結婚しようか」と。何て安易なプロポーズだったのだろうと想う。

それでも、亜美は嬉しいと泣いていた。


幸せにするつもりだった。それは嘘じゃない。


ただ、何かが足りない事に気が付いていなかった。



< 523 / 614 >

この作品をシェア

pagetop