泣き顔にサヨナラのキス
そのまま、孝太くんは何も言わずにあたしを見詰めている。
こんな近くで孝太くんと一緒に居ても、もう何も感じないなんて。なんだか苦笑い。
「孝太くん、顔近いから」
「あ、ごめん」
あたしは大丈夫になったけど、孝太くんに気がある女の子にこんなことをしたら、きっと勘違いをしてしまうだろう。
……これじゃ、野上さんも大変だなと思った。
「山本さんさ、今週の土曜日は予定ある?」
「うーん、得には無いけど……。どうして?」
孝太くんに誘われるなんて。不思議に思って黙っていと
「花火大会、俺らと一緒に行かない?」何故か上目使いの孝太くん。