泣き顔にサヨナラのキス
「どうしたの?ため息吐いて」
ふと顔を上げると、孝太くんが心配そうにあたしを見ていた。
「何でもないよ」愛想笑いで誤魔化してバソコンに視線を戻す。
それでも、孝太くんは何か言いたそうにあたしを見ている。
孝太くんには、いや会社の人には話せない。あたしが原口係長とこんな事になっているなんて。
無意識でまた、ため息を吐いていた。
「なーんか、最近元気無いよね、山本さん」
「そうかな」
「痩せたよね?」
「ダイエットしてるから」
「ふーん」そう言うと、孝太くんはあたしに、椅子ごとにじり寄ってきた。