泣き顔にサヨナラのキス
ベッドに音もなく落とされると、原口係長が直ぐに覆い被さってきた。
「ちょっと、待ってください」
原口係長の肩を押さえて距離を作る。
「何だよ?」
段々と色っぽい表情に変わっていく原口係長にドキドキしながら、真っ直ぐに見据えて問い掛けた。
「いつからですか?」
「は?何が?」
「いつから、その、あたしのことを好きになったの?」
「聞きたい?」
コクンと頷くと、原口係長は困ったように笑った。
「……そうだな。ぶっちゃけると、俺にもよくわからないんだよ。
いつの間にか、金曜日が待ち遠しくなっていた。
はっきりしたのは、さっきお前の浴衣姿を見たときかな」
そう言った原口係長は、息が止まりそうになるほど、切ない瞳をしていた。