泣き顔にサヨナラのキス
「もう、毎日楽しくて」
「よ、良かったね」
困惑している野上さんを無視して、あたしは話続けた。
「原口係長って、普段と違って二人きりになると、すごく情熱的なんです。
この前もですね……」
何気無く野上さんを見ると、真っ赤になってアタフタと手を振っている。
「ちょ、ちょっと山本さん、もしかして、もう酔ってる?」
梶間食堂での女子会は、友達が少ないあたしにとっては大切な楽しみの一つ。
「ふふっ。いいじゃないですか。久しぶりに野上さんとお酒を呑んでいるんですから」
「まぁ、そうだけど」
野上さんは相変わらず生ビールをジョッキで呑んでいて。丸顔にたれ目なところも全然変わらない。