泣き顔にサヨナラのキス
孝太くんと原口係長が来るまであと少し。4人で飲み会なんて不思議な感じだけど。
なんだか、今夜は呑みすぎてしまいそう。
「あ、山本さん。余計な事だけど、原口係長とはここではイチャイチャしない方が……」
「えっ!?どういうことですか?」
「いや、あの、弓枝ちゃんが……」
「はっ?」
キッと睨むと野上さんは、しまったと言わんばかりにあたしから目を逸らした。
「弓枝ちゃんって、誰ですかっ?」
「いや、あの、」
とその時、背後から「お疲れ」と孝太くんの声がした。きっと、原口係長も一緒だろう。
野上さんは嬉しそうに「あっ、お疲れ」と手招きをして呼び寄せる。
振り向くと笑顔の原口係長が視界に映って。
優しく微笑んであたしの名前を呼ぶ大好きな人。
「はるか、もう顔が赤いぞ」
そして、あたしの髪をクシャッと撫でた。
【END】