泣き顔にサヨナラのキス

 
 
「センパイ、俺に何か言うことないですか?」


その怒気を含んだ声に、慌てて孝太の顔を仰ぎ見る。


孝太はあたしのすぐ横に、無表情で立っていた。


こんな顔の孝太は珍しい。何かに怒っているみたい。


でも、何に?


「えっと、おはよう?」



何故孝太が怒っているのか分からずに、咄嗟に出た言葉がそれだった。



< 72 / 614 >

この作品をシェア

pagetop