向日葵の逝く先
 


確かに夏で暑いけど、それ以上に陸くんは汗をかいている。

わたしの足首を掴む手のひらが細かく震えている。

そして呼吸が忙しない。


明らかに、おかしい。



「うちで休む? その家だから」

公園の隣の家を指差した。

お父さんもお母さんも、事情を知ればきっと休ませてくれる。


けれど陸くんは首を振った。


「ありがとう。でも、大丈夫だから」

足首を掴む手から力が抜けた。


 
< 12 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop