群青の月
「それとも、風呂にするか?」


いつも柚葉が来る時間に合わせて沸かしておくから、彼女もその事はわかっているだろう。


「お風呂……」


「じゃあ、行って来い」


柚葉はマグカップをガラステーブルに置くと、ソファーの横にある紙袋を持って立ち上がった。


中には彼女の着替えが一式入っている事を、俺はもう知っている。


“お泊まりセット”を準備している柚葉が、何だか可愛らしい。


「入浴剤、好きなやつ入れていいぞ〜」


明るく笑って言うと、彼女は俺をチラリと見てからリビングのドアを閉めた。


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