群青の月
「何?」


しばらくしても何も言わない俺に痺れを切らしたのか、柚葉が食器を拭きながら眉を寄せた。


「いや、そろそろ服が足りないんじゃないかと思って。家に置いてあった分だけじゃ、さすがに少ないだろ?」


俺の話をまるで聞いていないかのように、彼女は無表情だった。


「ほら、靴も必要だろ?買い物にでも行かないか?」


それでも話を続けていると、柚葉の表情が曇っていくのがわかった。


だけど、俺は敢えてそれに気付かない振りをして、更に続けた。


「帰りに飯でも食って、アイスも買ってさ。な?」


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