群青の月

◆Side‥冬夜


【Side‥冬夜】



電話をしながら、リビングから出て行った柚葉の事が気掛かりだった。


漫(ソゾ)ろな返事しか返さない俺に、電話の向こうで母親がため息混じりに不満を漏らしている。


お盆前になると帰省を催促する電話が掛かって来るのは、毎年の事…。


仕事漬けでロクな親孝行もしていないから、その度に申し訳ないとは思う。


だけど…


今はそんな事よりも、柚葉の事の方が気になって仕方ない。


それに何よりも、仕事を辞めてしまった事をまだ両親にも言っていないから、どうしても言葉を濁し続ける事しか出来なかった――…。


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