群青の月
「め、飯でも食うか……」


発した声が少しだけ裏返っていた上に吃(ドモ)ってしまったから、緊張しているのがバレバレだったと思う。


そのせいで、恥ずかしさが更に上乗せされて…


“穴があったら入りたい”って言うのは、正にこんな時の事なんだって実感した。


気恥ずかしくて視線を泳がせていると、視界の片隅で柚葉が小さく頷いたのが見えた。


顔を伏せたままの彼女が耳まで真っ赤にしていて、俺と同じように照れているんだと感じる。


そして、その事に気付いた時、また柚葉への愛おしさが込み上げて来た。


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