群青の月

◇Side‥柚葉


【Side‥柚葉】



冬夜を見送った後、あたしはしばらく玄関のドアを見つめたまま立ち尽くしていた。


唇に残るキスの余韻を確かめるように、そっと指を這わせる。


その瞬間、ひんやりとした指先が唇の余韻を奪うように、熱を掻き消してしまった。


キスなんて、自分からした事は無かった。


そんな事をするあたしは、何だか自分(アタシ)じゃないみたいで嫌だったし…


何よりも、やっぱり照れ臭かったから…。


だけど…


それでも、そんな気持ちを跳ね退けるようにキスをしたのは、これが最後だって決めていたから――…。


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