13回目の好き
ガチャ
恭先生:「悪いな、奈緒。んっ!?」
恭先生はそう言ってリビングのドアを開けると、すぐ横の床に座り込む私を見付けて驚く。
慌てて私は立ち上がり、自分の不安を押し殺して、にっと笑う。
そんな私を見て、恭先生は心配そうな顔で口を開く。
恭先生:「…最近、どうした?んな、無理に笑わなくていいんだぞ…?」
やっぱり、恭先生は気付いてたんだ。
だけど、…生徒思いの恭先生に、私の不安なんて話せないよ。
心の中では比べて、こんな小さなことで不安になって。
こんな醜い自分を見られたくない。知られたくない。
何よりも…私は、恭先生に嫌われちゃうことが1番怖いの…。
しばらく黙って下を向く私の頬を上げて恭先生は言う。
恭先生:「…もうあいつら来ないから…。」
「!!」
その一言で私の何かが弾けた。
何でだろう。自分の心の中全部、見透かされてるみたいで。
こんな自分、知られたくないのに…。
「…恭先生、私を、見ないで…。」
頬に触れた恭先生の手をそっと離して、私は先生に背を向ける。
涙が出そう