ある夏の物語
あたしは思わず立ち上がっていた。



一斉にみんなの注目を浴びる。



「おい、郁!」



誰かの静止を背中に受けながら、あたしは教室を飛び出していた。



無我夢中で、外に走り出る。



そのまま記憶にある美鶴の家へ向かった。



近づくにつれて、ざわめきが聞こえてくる。



勢いよく走りこむと、やっぱり警察と野次馬がわんさかいた。



ここにはいないだろう。



あたしは踵を返して再び走り出した。



どこにいるんだろう。



あたしは美鶴がいるかもしれない場所を走り回った。



美鶴のことだから、一目に着く場所にはいない。



考えて、思いついたのが、あの公園だ。



山の中にあって、利用率は高くない。



足は自然とそこへ向いた。



お願い、いて!



見つかって!



こんなに体力があったのかと驚くくらい、長時間走りっぱなしだった。



やっとの思いで公園に辿り着く。



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