イジワル王太子と政略結婚!?
『これから君達も大変だね』
晩餐会が始まる前、私の横から急にバニラの香りが漂ってきた。
「シスル…!」
『嫌になったらいつでも俺のところにおいで』
シスルは飲み物が入ったグラスを私に差し出しながら、にこっと笑う。
甘ったるい香りといつもの誘い文句のせいで、私の気分は下がる一方…。
「残念だけどならないわよ」
『そう?公務ばっかりで寂しい想いするかもよ?』
「…大丈夫。シーナとなら」
前ならこんなふうに言われたら、きっとすぐ不安になってたと思う。
でも今は、自信を持って大丈夫って言える。