イジワル王太子と政略結婚!?
純白のドレスを一人で持ち上げながら、誰にも見つからないように祭壇のある小部屋に入る。



「お母様…。
私…今日シーナと結婚します」


祈りながら飾られた遺影を見上げる。


私の記憶にあるお母様は、こんなふうにいつも優しくて笑ってたなぁ。



「でもこんな気持ちのまま…結婚したくないよ…」



誰にも言えなかった、本当の気持ち。

お母様だけは聞いてくれるよね…?



「私、本当はね……ずっとシーナのことが好きだったんだ…」



でもそんな想いは、とっくの昔に捨てたはずだった。


あの日、シーナの本当の気持ちを知ってしまった時に──


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