Nostalgicな祭りのあとで
「ボクたちは、便利な世の中より、あったかい世の中の方がいいです。家族や友達と笑って過ごせる町がいいです。・・大人になったら、夢はなくなるって・・だけど、やまじいはずっと持ってて、ボク達に教えてくれました。あきらめちゃ、だめなんだって。」

勇気は振り返り、大樹と陸を見た。

「皆さんの夢はなんですか?思い出してください。子供頃に感じた心の目に戻って。・・ボクの夢は・・家族がひとつになることです。へへ、皆の思いは一緒なのに、バラバラなんておかしくないですか?」

ぽろっとマシュマロみたいな頬を涙が伝った。

「勇気・・」
父親はぐいっと妻の手を引くと、ズンズンと人ごみを掻き分け両親の元に立った。
「少しずつでいい、分かり合う努力をしてほしい。お互いにほんの少しの優しさを持てば、何かが変わるんじゃないか?勇気を思う気持ちは同じなんだから。」

嫁と姑は互いを見つめた。

「勇気、頑張りなさいよ。」
母親はぶんぶんと手を振った。
義母と繋いだ手を持ち上げて。
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