Nostalgicな祭りのあとで
勇気はパアッと顔を輝かせてお辞儀した。

一瞬照明が落ちて、シャンッ!!という鈴の音を合図に煌々とついた。
篝火が燈った舞台の上で、神へ感謝する神楽が奉げられる。

「子供達の祈りは届いたのでしょうか?」

藤崎の呟きに、校長は頷いた。
「きっと、何か残ると信じとる。」

どこか懐かしい、そんな郷愁が守の胸を締め付けた。
やまじいは空を見上げ、桜子を想った。
校長も、町長も、その息子達も。

誰もが悪がきで、自由だったあの頃に回帰した。

縁日が少しずつ灯りを落とし、祭りが終わりを迎えた。
リ・リ・リという虫の声が目立つようになると、夏草の香りがひんやりとした山風に煽られて漂った。

祭りの後に訪れる物寂しさ。
それすらも忘れていたことに、人々は気がついた。
奇跡のような一夜。
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