この街には、夜になると

「蟲」という妖怪みたいなものが街中を徘徊する。

「蟲」に会えば出会い頭に死んでいる人も。

サニーが遅いから心配で母親は探しに行った。

「蟲」に襲われていないか心配だったんだろう。

見つけるとサニーを抱き締めた。

しかし、サニーの表情は凍りついていた。

「う…しろ」

「サニー?」

振り向いた時には遅かった。

母は「蟲」に襲われて死んでしまった。


「サニーは明るく日が差すって意味なのよ」

それを聞いたサニーは微笑んでいた。

しかし

一件があってからは恨んだ。

名前も。

「日が差すなら…お母さんは死ななかった」

太陽も。

「もう少しだけ…空にあれば……」

…………………………

「「黒色の服」しか着なくなった。」

喪服を意味する黒。

サニーは母親を弔っている…。

ログの瞳には哀しみでいっぱいだ。

言われてみれば、黒色の服だった。

「その……「蟲」って何なの?」

「見たいんか?」

ごくりと生唾を飲む。


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