先生と生徒
「…何か変な組み合わせだけど、やけに合ってるね」
長いような短い観覧車の旅を終え、降りた後。
一足先に下りていた華はそう言った。
「…そんな事言わないでよっ」
よ、冗談交じりで華に返すけど。
心のどこか醜い部分では、その言葉が少し嬉しくもある。
「そうだぞ、稲原が拗ねてる」
と、先生の言葉の通り、和也はポツンとベンチに腰掛けている。
「…ちょっと行って来る」
一言言って、和也の側へと歩み寄った。
「和也っ」
「…降りてきたんだ…」
和也の横に座る。
「うん…っ」
そこから何を話していいか分からずに地面に目をやる。
「…乗りたかったな…」
小さく、けれど悔しそうに呟く。
「…明日の朝、乗ろ?」
自然と出ていた言葉だった。
もう、並んでもきっと無理。
なら、朝に乗りたい、そう思った。
そうならば、先生の思い出とかぶることはないから…
醜い言葉が心を突いた。