先生と生徒
「…結構出来てんじゃないか」
丸付けが終わったのか、プリントを返してくれた。
自分でもビックリなくらいに丸が多くついていた。
「…♪」
「ま、テストの範囲だから出来て当たり前」
そう言いながらも笑ってくれる先生に少し胸は高鳴る。
左手に光る、結婚指輪。
顔見知りな先生の息子。
先生の奥さん。
今、それを全て忘れたい。
「酒井?」
「……はい」
「ボーッとして、どうした?」
「…先生、」
そして、それを伝えたい。
「…何だ?分からないところでもあるのか?」
「…先生、」
「何だ?言わないと分からないぞ?」
教室には二人きり。
一瞬、和也の悲しそうな瞳を思い出した。
こんなにも切り替えの早い女なんか、酷い女なんか、忘れて欲しい。
和也には…幸せになって欲しい…