王様の、言うとおり


嫌な、予感が背中を伝う。




「コレ、貯まったから出してきて。」




『え、今から?』

「そ、今から。」

『えぇーー……!』




「今出したら最終の収集に間に合うだろうから。早めに出したほうが良いから。」




なんと無茶な事を言ってくるのだろう。

『や…私今日休んでるんだよ?』

ちょっとそこまでのポストと言っても誰に会うかも分からない。

学校の人に会ったらさぼったって一瞬でバレちゃうよ!

それにキングにも……鉢合わせしたらどうしよう。外出すれば遭遇率も高くなる。

お隣さんならなおさらです。



「大丈夫。病院帰りだと言いなさい。なんなら白いビニール袋持っていく?」


なんて母親だ。



―――あり得ない。





わざわざ部屋着から私服に着替えて、



ハガキを持ってポストに行きカタンと銀色の蓋が閉まる音を聞いて引き返す。





< 490 / 600 >

この作品をシェア

pagetop