王様の、言うとおり
ぺこ、と。そんな効果音が似合いそうな感じで簡単に頭を下げれば
おばちゃんは門を開けてくれる。
『お仕事、お休みですか?』
「ううん、今日は移動日なの。」
『移動?』
「そう。昨日帰って来て久しぶりに一泊ゆっくりできたんだけど、今日からまた別の場所で研修生の指導なの。」
そう……なんだ。昨日帰ってきてたんだ。
全く気付かなかったなぁ、と。よくおばちゃんの顔を見れば、しっかりと化粧されていて。
「飛行機の空きの関係で夜の便になったから割とゆっくりと出来てるんだけど……。」
そこまで黙って話を聞いていた所で、
急におばちゃんは閃いたようで。
「そうだ。ゼリーいっぱい持って帰ったんだけど、菜月ちゃんいる?」
『え?』